コロナ禍のドイツ留学記

ドイツ留学にまつわるエピソードを書きます。

初めての一人暮らし 救世主現る

三年前の春、大学に通うため九州の田舎から北摂に越してきました。

荷物を送ってしまえばよかったのですが、キャリーケース2個に詰めてやってきました。新幹線と北大阪急行の乗り継ぎまではよかったのですが、バス乗り場でまた混乱。思えばそれまでバスに乗ったこともほとんどなく、ましてやICカードなんて地元では導入されてません。若干白い目を向けられながら、バスに乗り込みます。幸いバスは空いており、大荷物を抱えての乗車も問題はなかったのですが、今度は行き先が不安になります。実は一度も大学寮の下見をしたことがなかったのです。車掌さんに尋ねようとするが地名が読めません。結構難しいですよね、大阪の地名。その後なんとか車掌さんに地名を当ててもらい、事なきを得ます。

次の日は早速大学の他のキャンパスに行く用事がありました。グーグルマップでキャンパス名を検索して移動していたのですが、なんと違う大学の同じ市内のキャンパスがスタート地点に設定されており、まったくでたらめな方向に歩いていたことが発覚。残り一時間しかありませんが、公共交通機関の場所が分からないうえに、正当なルートを使っても40分はかかるそうなので、今から戻っても厳しそうです。

 

たどり着いたのはアヤハディオ。店員さんに道を尋ねると、喜んで近くのお花を見ていたご夫婦のところまで案内されました。なんででしょう?
「あのー。すみませんがこのキャンパスまで行くにはどうしたらよいでしょうか。」

思い切って尋ねてみたところ、ご夫婦も実は最近引っ越してきたばかりだそう。なぜ案内したのかお互いさっぱりわかりませんが、いよいよどうしようもないことが分かり落ち込む私。
「私たち今日は車で来たの。不安でしょう。時間もあるから、あなた送っていってさしあげたら。」

「そうだね。これも何かの縁だ。乗りなさい。」

お二方はわざわざ買い物の手を止め、親切にも大して近くもないキャンパスまで送ってくださいました。往復で一時間半は費やしてしまいます。最初は申し訳なくて断ったのですが、最終的に二人のやさしさに甘えることにしました。そして無事に時間内に到着。何かお礼をと思い、申し上げたのですが、お二方とも気にしないで行きなさいと帰って行かれました。

 

あれから3年経ち、再びお二方とお会いしたことはないですが、この親切でスマートな行動は今でも忘れられません。お二方に近づけるよう、日々精進しています。